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医療関係者の方へ7cm超巨大結節に対するRAIB-TACE

 

初めに

7cmを越えると肝癌結節はTACEによる制御が困難になると多くのTACE術者が考えているようです。また、肝内転移を併発している頻度も高く、これらは当然、手術やRFAの適応になりません。
現時点で、私自身は4cmを越える結節にはリピオドールは全く用いておらず、RAIB-TACEのみを行っております。理由は以下の通りです。

  1. ミリプラチンの保険適応は原則2Aまでで、上限が7mLとなる。この容量のリピオドールを結節全体にいきわたらせるには4cmが限界である。4cmを越える結節の場合、リピオドールの非分布領域を生じてしまう。
  2. 多発結節の頻度が高い。
  3. 近位Glissonに接する頻度が高い。
  4. リピオドールを用いないことにより巨大結節内に集積したリピオドールに邪魔されることなく、多数の肝動脈枝内のジェル残存をしっかりと確認できる。

RAIB-TACE施行の際に留意すること

巨大結節のRAIB-TACEを施行する際に留意することは、血管径が太くマイクロバルーンのみでは血流遮断が困難なことがあるということ、またVascular lakeが必発であり、これに対する対処に精通する必要があることです。
RAIB-TACEの技術的目標は、胆嚢動脈や右胃動脈への薬剤注入を避け、側副路も含めてしっかりと塞栓することです。TACE終了時には亜ー亜亜区域レベルの肝動脈枝に破砕ジェルを含んだ造影剤がしっかりと滞留することが必要です。
腫瘍栄養血管は多数あり、別項で述べたMDCTを用いたCTAは、前述の胆嚢動脈や右胃動脈を明確に同定するために必須です。また、腫瘍栄養血管を同定するというよりも、塞栓する必要のない血管を同定するために有用です。また、A1等、基幹部の太い血管から直接分岐する細い栄養血管の同定にも必要です。A1にはマイクロバルーンカテーテルを直接挿入することもあります。

太い肝動脈枝に対処するには

太い肝動脈本幹を閉塞するにはマイクロバルーンでは無理なことがあります。これに対処するにはいくつかの方法があります。マイクロバルーンカテーテルを亜亜区域レベルに入れ分けることは一つの方法ではありますが塞栓する血管数が増え、非現実的です。最近まで用いていた方法は、セレコンバルーンカテーテルを併用することです。セレコンバルーンを固有肝動脈に留置し血流遮断を行い、そこから更にマイクロバルーンカテーテルを亜区域ー区域レベルの肝動脈枝に挿入し塞栓を行うことです(ダブルバルーン法)。2016年に販売されるようになった東海メディカルのマイクロバルーンは4F通過可能なものとしては最もバルーンが丈夫で大きく膨らませることが出来ます。現時点では多発HCC、バラマキHCCにはこのバルーンがお勧めです。ダブルバルーン法は不要になるかもしれませんが、一例を示します。

Vascular Lake(VL)対処方法

Vascular lake(VL)は球状塞栓物質の使用が始まって広く認識されるようになりましたが、ジェルフォーム角を使用していたころから生じておりました。その実態は腫瘍栄養血管の腫瘍内破裂と考えられております。よってVLを放置しておくと腫瘍破裂のリスクがあり、これが消失するまで塞栓をしっかりと行うことが必要です。一方、VLが生じたということは、塞栓物質が腫瘍内に到達したという証なので良好な塞栓・虚血効果が期待できます。
VLを塞栓するには破砕ジェルのみでは不可能で、1mmの非破砕ジェルパートあるいはハサミで裁断したジェルフォーム角が必要となります。重要なことは、VLが生じたからと言って直ちに大きなジェル片を注入するのではなく、腫瘍の染まりが消えるまでは破砕ジェルを用いたRAIB-TACEを行うことです。これにより近位塞栓を防止することが可能となります。
ときにはマイクロバルーンカテーテルをVL責任血管まで超選択的に挿入する必要もあります。
1mmジェル、裁断ジェルフォーム角の注入の際に気を付けることは、近位血管の過剰塞栓を防ぐことです。よって1mmジェルや裁断ジェルフォーム角は少しずつ注入します。バルーンは原則開放した状態で、血流に載せて塞栓します。1mmジェルの場合はカテーテルのハブ内にジェルを少量チャージし、生食もしくは造影剤でフラッシュします。これを何度か繰り返し、DSAを行いVLの有無を確認します。VLが消失しない場合は1mmに裁断したジェルフォーム角(水に浸すと膨らむ)を用います。乾いた状態の2-4粒をピンセットでつまみ、カテーテルハブにチャージしフラッシュします。たとえ2-4粒でもジェルフォーム角には強力な塞栓力があります。DSA上、腫瘍濃染とVL消失を確認し、塞栓を終了します。

これまでの臨床成績

2014年12月-2016年5月まで14例14結節の7cm以上の巨大結節に対しRAIB-TACEを施行しました。(PVTT併発例は除く)
重篤な副作用無し。13例でCDDPを、1例はGFRが低いのでEpirubicinを用いました。
1例に壊死結節に膿瘍を生じましたがこれは胆管空腸吻合後の症例で、食物残渣の胆道内逆流が原因と考えられました(高リスクということを説明しRAIB-TACE施行)。
CRは9結節。PRは残り5結節で、ORは100%。PR5結節のうち,95%以上の壊死達成は3結節です。
CRを達成できなかった原因は全て側副路の完全塞栓が達成できなかったことです。その側副路とは胆のう動脈(3)、横行結腸動脈(1)、不明(1)です。

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