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放射線科(肝臓がん塞栓治療について)

肝臓がん塞栓治療について

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治療の対象となる患者様(1)

バルーンカテーテルによる治療の対象となるかどうかは、自己判断は困難です。主治医の先生と以下の点を充分に相談・確認してください。

  • 肝細胞がんであること(血液・画像上の診断で大丈夫です。必ずしも病理組織は必要ありません)。
  • CTもしくはMRIの造影検査で癌の動脈血流が豊富であることを確認している。
  • 肝転移ではないこと。
  • 手術やラジオ波による治療が適応されない、あるいは困難なこと。
  • 肝硬変・肝細胞がんの他に重症な疾患を有していないこと。
  • 充分な肝機能を有していること(Child-Pugh 7点以下であること)。
  • アルツハイマーでないこと。
  • 下大静脈に達する腫瘍栓がないこと。
  • 門脈本幹に腫瘍栓がないこと。
  • 腫瘍の圧迫に起因する胆道拡張がないこと。
  • 癌の体積総和が肝臓の30%以下であること。

治療の対象となる患者様(2)

以下のような点は必ずしも治療禁忌とはなりません。

  • ネクサバール(経口の抗がん剤)の副作用がつらく継続ができない方は治療の良い適応となります。
  • 当院以外で塞栓療法を行ったが制御がうまくいかなかった。この場合はこれまでの画像や血液データを元に治療が可能か否か判断します。
  • 多発結節であっても肝機能が良好なら塞栓治療は可能です。全肝の塞栓ならChild-Pugh 6点以下、・左右どちらかならChild-Pugh 7点以下であることが必要です。
  • 左右どちらかの門脈枝に腫瘍栓があっても肝機能が良好であるなら治療適応となります。
  • 肝静脈腫瘍栓、あるいは門脈腫瘍栓によりシャントが発生しているが肝機能は良好である。
  • 腫瘍サイズが7cmを越えていても肝機能が良好であれば治療適応はあります。
  • 多発、巨大結節であっても肝機能が良好で腫瘍体積が肝臓の30%以下なら治療は可能です。

塞栓療法の限界

残念ながら当院で施行している塞栓療法にも限界はあります。他施設よりも良好な腫瘍制御を達成しているという自負はありますが、一般的には塞栓療法では、癌細胞をゼロにすることは出来ません。つまり再発から逃れることは出来ません。手術やラジオ波治療は塞栓療法よりも根治性が高いので、これらの治療が可能なら塞栓療法はお勧めできません。塞栓治療の目標は癌との共存期間をなるべく延長することです。

よって、塞栓療法は繰り返すことが前提・必要となります。治療後は定期的に画像検査・血液検査を行い再発をチェックする必要があります。

塞栓療法は繰り返し施行することが必要ですが、その回数には制限があります。塞栓療法を繰り返すことにより血管が障害を受け、抗がん剤や塞栓物質が癌結節にうまく到達しなかったり、あるいは抗がん剤に対し癌細胞が抵抗性を獲得するからです。いつかは塞栓療法による癌の制御は不可能となります。

私共は、患者様の肝機能・生活の質を保ちつつ、癌と共存できる期間をなるべく長くできるよう努力します。

当院で塞栓治療を受けるには

当院での塞栓療法を受ける前に、現在の主治医とよく相談してください。放射線科(塞栓療法の術者)は外来を行っていないので、主治医の先生に紹介状を作成していただき、当院の消化器内科(鹿志村医師、有賀医師)を受診していただくことになります。その際に血液データと画像データを持参していただければ、早急に治療可能か否か判断いたします。特に、以下の4点について検討・記載していただければ幸いです。

  • 肝機能(Child-Pugh score)
  • 癌結節の数(1,2,3、多数の4分類でOK)
  • 門脈腫瘍栓の有無
  • 肝静脈腫瘍栓の有無
  • Performance status
  • 肝硬変・肝細胞がん以外の重篤な合併症

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